王子様の弱みを握っただけなのに。



「……歩夢」



歩夢がいた。


だけど向こうはまだ私に気づいてない。


歩夢は声を出しながら、私を探していたようだ。



せっかく格好良く決まってたコートが乱れてる。


そんなに必死になって探してくれたの?



クスッと笑えば、私は歩夢の方へ駆け足で向かった。



「歩夢!」


「沙也加!?」



思わず抱きついてしまった私は、もう歩夢には心を開いている証拠。


勢いよく抱きついた私を、両手で受け止めた歩夢はきょとんとしながらも嬉しそうだった。



どこに行ってたの!?


ずっと心配して探してたんだから!



とにかく言いたいことは山程あるが、歩夢を見つけられた喜びが一番の気持ちで。


歩夢も私を探してくれたことにまた想いが募っていった。