「あ? 沙也加って呼んでいいのは俺だけだ」
いや、張り合うとこそこ?
私で妄想してるっていう気色悪いセリフは突っ込まないの?
私傍観しててもいいの?
「沙也加は俺だけに愛されればいいんだ。
そんなキモいことするんなら他当たれ」
「なっ! 沙也加ちゃん何か言ってよ!
こいつ頭おかしいって!」
「そんなのとっくに知ってる」
歩夢は土下座男子に私の顔を見せないように包み込んだ。
正直何も言いたくないけど……話したくもないし。
「歩夢、私からも何か言わせて」
「おう……」
「安心して。十分、あなたもイかれてるわ。
だから……さっさと失せろ」
親指を下に立てたら、土下座男子のドMぷりはどこへ行ったのやら、青白い顔をして後を去った。
一件落着ってところかしら。
肩の荷が降りたような思いでため息を吐いた。