「ええ、本当に助かったわ。いつも悪いわね」
「どんどん頼れよ。むしろ、お前は何もできなくなるくらい甘やかしてーのに」
「……それは嫌」
それじゃ歩夢と対等の関係を築けないじゃない。
歩夢を助けられるくらいには何かできるようにはしたいのよ、こっちは。
「ま、いいけどな。
最近のお前、可愛いからな」
「……っ、いきなりどうした」
私達は机を挟んで向かい合って座っている。
歩夢は少し伸びた私の髪を指で絡め取って遊び始めた。
「ん? 最近のお前、本当に可愛い。
こうやると挙動不審になって固まったりする姿、最高にそそる」
掠れた声でいやらしい感じに呟いて、どこか危ないオーラを醸し出して笑う歩夢。
大人な雰囲気を感じた私は一層心臓が縮み上がる。
「あーあ、このまま閉じ込めたいな。
誰にも見せたくないんだけど」
立ち上がって、私の側に来た歩夢は閉じ込めるように抱き寄せてそう言った。
しばらく経っても離れないので、私は勇気を出して歩夢の背中に腕を回した。



