「あの、こちらつまらない物ですが、中にお菓子が入っています。是非ご家族で召し上がって下さい」
「まあ、わざわざありがとう〜!」
玄関先でお菓子を渡すと、お母さんは感激したかのように目をキラキラ輝かせる。
さすが王子様、お母さんのハートまで掴んだのね。
「この節は沙也加が本当にお世話になりました。
……あの、聞いてもいいかしら?」
「はい、なんでしょうか?」
爽やかなパーフェクトスマイル。
お母さんの前では表の性格を貫くようだ。
そこはちゃんと礼儀正しいんだなと好感度をあげたいところだが、この歩夢は普段から見慣れない分変な感じだ。
「沙也加の彼氏さんだったりする?」
「ちょっ、お母さん……!」
いきなりなんていうことを聞いてるんだ。
まだ付き合ってないとはいえ、好きな人なので照れ臭くて話を逸らそうと話題を考える。
「沙也加さんみたいな素敵な方に僕はもったいないですよ」
「まあ、逆だと思うわよ。
でも、歩夢くんが彼氏だったら大歓迎よ〜!」
「ははっ、それは嬉しい限りです」