「それで? ストーカーやっつけた人がいて解決できたって聞いたんだけど、ちゃんとお礼したの?」
「い、一応お菓子は渡したよ」
椅子に腰掛けてお母さんと向き合う体型になる。
コンビニで売っているようなものじゃなくてデパートの地下とかで売っているようなちゃんとしたやつ。
甘さ控えめの和菓子をチョイスして、後日歩夢に頭を下げて渡したのを覚えている。
「それじゃ足りないわよ! 同じ学校の人?」
「うん、まあ……」
「よし、家呼ぶわよ。私からもお礼がしたいわ」
有無を言わせない口調ではないが、お母さんの心がけに頷かない選択肢はなかった。
ということがあって……
「おじゃまします」
「どうぞ上がって〜」
テスト前にも関わらず、とある週末に歩夢は家にやってきた。