歩夢は用事があるみたいなので、先にひとりで帰ることにした。
「ただいま〜」
「ちょっと沙也加!」
家に帰るなり、お母さんの怒鳴った声が聞こえる。
私、何かしたっけ……悪事を働かせた覚えはないんだけどな。
首を傾げつつも、お母さんのいるリビングへ向かった。
「沙也加! ストーカー被害にあったって本当なの!?」
「え……なんでそれ知って」
「さっき警察が来て、その後大丈夫かわざわざ心配しに家にやって来たの!」
お母さんには心配しないように話さなかったけど、こういう形でバレてしまうとは……。
「なんで言わなかったの!?
沙也加が困ってる時の親でしょうよ!」
「……ごめん」
心配故の怒りだということも分かって、隠していたことに申し訳なくなる。
「中学の時のいじめだって、後から担任から知った形だったし、お母さんを心配する以前に自分のことを心配しなさい!」
お母さんの優しさがジーンと身に染み付いて、笑顔を浮かべて頷いた。



