「なんで変なところで鈍感なんだよ……」



余裕がない声音。


それだけで胸がキュンと疼いてしまう。



「お前の照れ顔、可愛いだけだから。
なんで渉に見せるんだよ」


「……照れ顔?」



おそらく渉に褒められた時だ。


というか、元はと言えばあなたのせいだ。



「それはだって……!」


「俺以外、可愛い顔見せるの禁止。
マジで心臓持たなくなるから」



反発しようにも遮られ、私も心臓が持たなくなりそうになった。



余裕がなくて、私のことが好きって伝わる顔。


こんな顔見せたら皆キュン死しちゃうし、王子様のこと好きになっちゃうよ。



「……歩夢も見せないで」


「何をだ?」


「なんでもない! ほら、さっさと行くよ!」