昨日が嘘だと今言われても信じてしまうくらい徹底している。
「……!」
ふと王子様と目があった。
隙を狙って、こちらを睨んでいるじゃないか。
見なかったことにしよう、そう決めて私は目を逸らして教室の中へ入った。
けど、ビデオを確認したら流石に現実だとわかってしまうわけで。
……弱みを握れたんだ。
とはいえ裏の王子様とは関わりたくもない。
前と変わらず、ただの同い年の人だという認識で良いだろう。
「……うまい」
そして昼休み、私はひとり中庭でご飯を食べる。
9月、まだ暑さが残るこの頃。
だけど、爽やかな風が吹いていてとても心地よい。