絶対に好きにならないって宣誓したから。
歩夢の思い通りになったと思ってしまうから。
心のどこかで気づいても、言い訳をして逃げていたのかもしれない。
もう逃げ場が無くなってしまった。
「さあ、どうなんでしょうね?」
「……はっきりしろよ」
でも、認めてから数秒後に言うのも少し違う気がしたのではぐらかすことにした。
「私のこと、好きなんでしょ?
だったら、歩夢が弱みだって言わせるくらい頑張りなさい」
「ふっ、上等」
ひとつの笑顔、たったの一言。
それだけで心臓が痛くて、胸が締め付けられる。
「……ほんと、あなたを舐めすぎてたわ」
「は? 何の話だよ」
「こっちの話」
もうあなたが弱みだよ、と言えるのはいつの話やら。
だけど、この気持ちに気づいただけで心が満たされたのだった。