「なあ、沙也加」
「え?」
強引に引き寄せては、至近距離で顔を見つめられる。
それも少し動いたらキスができそうな程近い距離で。
胸が高鳴って、この鼓動が聞こえそうで。
「……っ、いきなりどうしたの?」
「お前……もしかして」
いくら夕暮れ時とはいえ、夕陽のせいで顔が赤いなんて絶対に言えない。
そんなの言ったとしても、彼には必ずバレてしまうと思うから。
「俺のこと……好き、なのか?」
もう、降参だ。
やはり自分の感情が合っていると分かれば、一気に溢れ出してしまった。
……ああ、違いない。
歩夢が好きだ。



