仕事を放棄しているのは少し気に触るが、その後の時間は楽しかった。


だからなのかわからないけど……



「あの、星本くん。ちょっといい?」


「……ああ」



緊張して上擦った声を出した女子に、歩夢は少し間を置いて頷いた。


この場にいる皆は何が起こるか判っただろう。


私を見て「悪い、少し待っててくれ」と言い残してその子の方へ行ってしまった。



義理深い人なのは承知だ。形だけかもしれないが、あいつなら告白を誠意を込めて返すのだろう。


いくら内心うざったりいと思っても、そこはちゃんとするところがまた良いところで。


だからこそ、私は待たないといけない。



なのに……


離れてしまった手。


今から告白する子についていく歩夢。


それらを思い出して、寂しいとか泣きたくなるような苦しさを抱く。