「うし、文化祭一緒に回るか」
手は離されないまま、歩夢は提案する。
それは全然構わないけど……。
「この格好で?」
「宣伝にもなるし良いだろ。仕事放棄はしてない」
とは言っても、さっきから周りの視線がうるさいんですけど。
同じ学校の子は羨望や嫉妬の目線。
外部の人はラブラブだなっていう微笑みが含まれている。
「しょうがな「歩夢くん!」
仕方ないなと頷こうとしたら、メイドの格好をした女子が歩夢を呼んだ。
あ、この子よく歩夢と一緒にいる人だ。
この間歩夢を見かけた時も、この子も一緒にいた気がするし。
「やっと見つけた! 早く戻ろう?
シフト外の人達も歩夢くんを探してるんだから!」
それは早く戻った方がいいのでは……?
「俺は宣伝係になるから、後はよろしく。
大体シフト5時間とか金貰わねえ限りやりたくねーの」
「あ、歩夢くん……?」
「行こう沙也加」
まだ歩夢の変貌を知らない人だから、突然の変化にびっくりして何も言えなかったようだ。



