あーあ、やらかしたよ王子様。



「あんた、その性格ここでやってもいいの?」


「……あ。ま、いいや。
あの性格やるのめんどくさかったんだよな」



真顔でうんざりした口調で放った王子様は、いつもの王子様ではない。


爽やか王子様の性格崩壊に私以外の生徒は誰もついていけないまま。


歩夢はどうやら気づかなかったようだ。



「「え〜!!?」」



周りが驚きの声を上げるのを横目に、私はやれやれとため息をついた。



「というか、まだ仕事中なの?
制服じゃないからちょっと気になったのよね」


「ああ、仕事中に沙也加がネコのメイドで接客してるって聞いてな。そりゃあ放り出すに決まってるだろ」


「……そう」



まさかの予想とは真逆の展開がやってきた。



「ってなわけで、お前は可愛すぎるから強制退場。
目が届かない範囲でそんな格好しちゃダメ」


「えっ、ちょ……!」



歩夢に手を引かれながら、私は教室を後にした。


繋がれた手を見つめていたら、ドキドキが止まらなかった。