「大丈夫だった!?」
「ええ、まあ。どうにかなったわ」
騒ぎを聞いたのか実行委員が心配そうに声をかけた。
特に被害はないはずだ。
「志村さんが無事で良かったけど、王子様は何やってるのよ!」
「仕事なんでしょ、しょうがないよ」
いくら王子様でも表の性格上、シフトを放り出すほど非常識なことはしない。
……そうだよ、裏の性格だけを考えてた。
表の性格がある限り、絶対に感情的に行動しないってなんで気づかなかったんだろう。
私の行動って、もしかしたら無駄だった……?
「志村さん、顔青ざめてるけど大丈夫?」
「あ……大丈夫。それより仕事した方がいいと思うわ」
「そ、そうだね。何かあったらいつでも言ってね!」
私は頷いて、作業を再開した。
お客さんが来るたび、アイツかなと勝手に期待して勝手に凹んで。
王子様を意識しているのは言わずもがなだった。



