思った以上にめんどくさいことになったんですけど。
実行委員は忙しそうだから助けてなんて求められないし。
「……こういう注文するんだったら、帰ってください」
「は? お客様になんつー態度取るんだよ!」
「聞こえなかった? 爪であなたたちの顔を見せられないものにしようかって聞いてるんだけど」
ネコをモチーフにした凝りすぎたネイルをナンパ野郎に見せてやれば、あまりの鋭さに短く「ひぃ」を絞る声が出た。
ふっ、チョロいわ。
あんなに威勢良く反撃したのに、ちょっと声を低くしただけでこんなに怯えた表情になるなんて、本当に可愛い人たち。
「こちらのメニューならお受けしますけど、それ以外ならどうぞお引き取りください」
「……くそ、分かったよ!」
彼らは周りの視線に気づいたんだろう。
なんせ私も含めて声を大きめにしたんだから。
お客さんはナンパ野郎に哀れみの目を向けて、鬱陶しそうに見つめてた。
視線に耐えられなかったのか、そそくさとクラスから出て行った。



