その衣装を身にまとって、ついに本番を迎えた。
その日まではお互い忙しかったため、王子様とは一緒に帰ることはなかった。
だけど一瞬見かけたんだ。
執事の服装をした王子様が女子達にちやほやされていた姿を。
それでさらに悔しさが募って絶対にその表情を崩してやるというやる気がみなぎった。
……私のこと好きなくせに。
告白とかめんどいとか言っておきながら、満更でもないみたいな顔で笑いやがって。
「志村さん不機嫌そうな顔してる」
「話しかけないでおこう」
「そうね。そっとしよう」
私、そんなに顔に出てたかしら……?
いや、そもそも私は不機嫌じゃないし。
そんなのまるで私が王子様のこと、好きみたいじゃない。
好きになりかけているのは事実だけど、絶対に認めてやらないんだから。



