王子様の弱みを握っただけなのに。



にんまりと告げた私に、面白がる実行委員。



「あー、確かに突然知らされたら焦りそう!
いいね、その戦略もありかも!」


「あなたも本当にエゲツないというか……大胆よね」


「だって対抗できる男子いないし、まー美少女はいるからどうにかなるかもしれないけど」



今きっぱりと男子には期待していないとおっしゃいました……?


まあ、事実なんだけど。



「じゃあ駅に着いたことだし、文化祭一緒に頑張ろうね! アビュー!」


「アビュー?」



実行委員は反応しないで、そのまま改札へ一足早く入ってしまった。


彼女なりの挨拶なのかな……気にしないでおこう。



そして、どんどん日にちが迫ってきて……。



「志村さんはこれ!
最初ウサギがいいと思ったんだけど、性格的にこれが似合うと思うんだよね!」


「……」



着たくないけど、これも歩夢を妨害するため……!



私は覚悟して、その衣装に手を伸ばした。