王子様の弱みを握っただけなのに。



何か用事があるかもしれない。


今日は私が歩夢の方に行ってみようかな。



……いや、決して一緒に帰りたいわけじゃなくて。


ただまだひとりの道が怖いだけというか。


うん、歩夢と一緒にいたいわけじゃない、決して!


だから歩夢じゃなくてもいいし!



どうせだったら近くにいる人でもいい……



「あ、志村さんだ。帰り?」


「えっと、うん。あなたも帰るの?」



そばにいたのは文化祭の実行委員のひとり。


名前は……忘れてしまった。



「そうだよー……あ、そうだ!
一緒に帰ろうよ! 志村さんに聞きたいことがあるんだよね!」


「あ、うん。いいよ」


「……やっぱり志村さんって噂とは違う」



え、それはどうゆうこと?


私、噂されてるの?