ストーカー事件から約2ヶ月。


たまに思い出すこともあるが、それでも何とか生きていけるのはきっと目の前の奴のおかげだろう。



「おはよう沙也加」


「……おはよ」



私を心配して歩夢が毎日一緒に登下校してくれることになって、ますます私たちがカップルっぽくなってきた。


そのことが嬉しいと思ってしまった私は、もう歩夢を好きになりかけているに違いない。


だけど、歩夢の思い通りにはなりたくないと強く思う私は一歩踏み出せずにいるのだ。



「沙也加のクラスは何するか決まった?」


「今日話すみたいよ。あなたの方は決まった?」


「メイド執事喫茶らしい」



夏休みが終わって、秋が始まると文化祭のシーズンが始まる。


歩夢のクラスはいかにもメジャーというかあるあるの企画といいますか……それでも歩夢と中家くんというダブルイケメンがいる時点で大盛況は確定だ。



そして、我が校の文化祭はとても力を入れている。


例えば、企画一位のクラスには賞状だけではなくどこかのお店無料券を与えたり。


入場門がとても凝っていたり、先生が積極的に参加したり、みんな文化祭ガチモードに入るのだ。