「沙也加ちゃんはとっても可愛くて、僕の天使なんだ。それなのに一時期星本歩夢が邪魔をした!
……だから嬉しかったんだ。沙也加ちゃんが僕のために星本歩夢と関わらなくなって」
こんな狂気のある可愛いは初めてだ。
それなら歩夢の可愛いの方が何倍も幸せだ。
「さあ、手を取って。誰も邪魔されないところへ行こう」
嫌だ、嫌だ。
助けて……誰か。
「悪いけど、それはさせないから。おっさん」
え……?
今の声って、そんな嘘だ、ありえない。
だけどストーカーの後ろにいるのは、先程考えてた人で。
「歩夢……!」
足がすくんでたのが嘘のように歩夢のところへ一目散に駆けつける。
「いつもこんなに素直だったらいいのに。
気づくの遅くなって悪いな」
全て受け止めるかのように、飛びついた私を腕の中に閉じ込めた歩夢。
怖いという思いが吹き飛んで、不謹慎にも笑ってしまった。



