王子様の弱みを握っただけなのに。



その放課後のことだった。


この数日間で癖になってしまった、周りを警戒しながら歩くこと。


今日も忠実に行うということは残念ながらめでたいことではない。


事を大きくして欲しくない、心配されたくないのももちろん悲しむ顔を見ることだけは昔から苦手だった。


このままではいけないのもわかってる。


だけど、女ひとりでストーカー撃退なんてできるわけがなかった。


帰りはなるべく人が多い道に出るようにしているが、人気のない住宅街に通らないと家に辿り着けない。



住宅街で警戒しながら歩いている時だった。



「……!」



後ろから足音が聞こえる。


もしかしてストーカー……?


怖気づく心はあるものの、試しに足を止めてみると私に合わせるかのようにその足音が止んだ。


やっぱり……後ろにストーカーがいる。



どうする、私。


どうすれば恐怖から解放される?