歩夢とはもう絶縁状態。
王子様の弱みを握る前の生活に戻った。
周りと関わることなく、ひとりの生活を送る。
「ねえ」
「あなたは……」
そこには腕を組んで立っている歩夢のファンクラブ会長がいた。名前は確か……小鳥遊さんだっけ。
「星本くんから聞いたわよ。
あなたずっと関わりたくないって思ってたって」
「それは……」
痛いことを突かれ、私は俯く。
いや、それよりもどうやってここから逃げ出せるか考えなきゃ。
あ、そういえばそろそろハロウィンだからってこんなもの貰った気がする。
そんなことをぼんやり思いながらポケットからあるものを取り出す。
「小鳥遊さん、これあげるから関わらないで」
「一体何を……きゃあああああ」
彼女は思わず悲鳴をあげながら、私があげたものを落っことした。
やっぱり女の子は虫が嫌いものね。
いくら蜘蛛とはいえ……おもちゃなのに。
彼女が悲鳴をあげた隙に、私は教室までダッシュしたのだった。



