王子様の弱みを握っただけなのに。



「じゃあ、これだけ聞かせて。
今でも歩夢と関わりたくないって思ってる?」


「そんなの……」



私はそこまで言いかけて、我にかえる。


危ない、感情的に言葉を重ねてしまうところだった。



「変わっていないわ。ずっと関わりたくないって思ってたの。中家くんには悪いけど精々した気持ちなの」


「……そう」



何か含みがあるように頷いたが、これ以上言及することはせずに、すぐに帰宅した。


今日もポストが入っていて、部屋へ持ち込んで中身を確認する。



"昨日メール来なかったんだけど、どうして?
沙也加ちゃんのことこんなにも好きなのに。
僕は沙也加ちゃんのことならなんでも知ってるよ。
誕生日3月2日、身長159、体重47kg……"


「ちょっと待って……」



他にも自分の得意科目苦手科目。
交友関係、好きな食べ物、嫌いな食べ物、さらにはスリーサイズまでそこに書かれていた。


昨日の恐怖とは比ではないのに、反応が昨日と同じなのがさらに恐怖を刺激された。



幸い、明日は土曜日。


家から出なければいけないということはない。