王子様の弱みを握っただけなのに。



夜に作戦を考えた。


そして、ひたすら無視すれば向こうも諦めてくれるはずという結論にまとめた。



一応反応が気になるのと、お母さんには見せたくないから家のポストは毎回確認することにした。



「……あ」


朝のポストを確認して学校に入ると、歩夢が爽やかな笑顔で女の子と楽しそうに話していた。



って何反応してるのよ私。


でも、やっぱりそうだった。


結局、歩夢は私がいなくても楽しくやれるのだ。



私に気づかない歩夢に背を向けて教室へ入り、自分の席についた。



「……」


さっきの光景が頭から離れなれなくなった。


どうして? 今まで何度も見てきたはず。


いつもはもっと片方だけ口角をあげて意地悪く笑うのに。


さっきの笑顔は本当に爽やかだった。


ただ見慣れないだけだから頭から離れなかったのかな……いやそれだとなんか違う。