「あんた素を出して良かったの……?」
「「(しまった……!)」」
私は話しかけたことに対して。
歩夢は素を見せたことに対して。
それぞれ違う意味だけど、心で叫んだ言葉は一緒だった。
少しだけ辺りに沈黙が走る。
「それよりもお前だよ。口が悪いとか聞いてねーぞ」
歩夢は人前で素を見せることよりも私のことを気にしているようだ。
「もう嫌なの。めんどくさい。お願いだから私と関わらないで」
今までの私がおかしかったんだ。
集団行動が嫌いなのに歩夢のそばになんだかんだいて、それが心地よかったからどこかで気分浮かれていた。
きっと歩夢も私じゃない好きな人を見つけたら、私なんか放っておいて離れていってしまう。
友達なんかこの世に存在するわけないじゃん。
みんな自分のことばっか考えて、都合のいいコマぐらいにしか考えてないに決まってる。
最後には必ず裏切られるんだ。



