今日も一日が終わった。
「沙也加、一緒に帰ろう」
「……うん」
7月に入って、夏服へと変わった。
そろそろ夏休みで、私は王子様と会えない日々を楽しみにしていた。
一緒に帰るのはもう恒例のこと。
断る方がめんどくさくなった私は、鞄を持って歩夢の数歩後ろを歩いた。
すねを蹴ったのが結構効いたらしく、あれから歩夢は抱きついたりはするが痕を付けることはしなかった。
いや、付き合ってないから当たり前なんだけど。
すると後ろから足音が聞こえる。
歩夢は前にいるから、歩夢の足音ではなさそう。
「……?」
不思議に思った私は後ろを振り返るが、誰もいなかった。
気のせい……? まあ、そんな大したことないよね。
足音もこれ以上聞こえなかったので、私はすっかりと忘れてのんびりと帰路を辿った。