私の目がおかしいだけ?
歩夢の最悪な性格を見続けてきた私には、渉くんが王冠を乗せた爽やかな王子様にしか見えない。
「じゃあ、漫画の件も無くなるかな」
「申し訳ないけどそうなるわね」
中家くんと話す姿を歩夢に見られたら、さっきみたいにめんどくさいことになる。
だったら借りない方が身の安全だとお互い察しただろう。
「じゃあ、私はこれで」
「歩夢にはよろしく頼むなー」
最後の言葉は聞かなかったことにして私は保健室へ一目散に駆けつけた。
そうして保健室に入った私は、先生が席を外してることを良いことに、こそっと絆創膏を奪うように取ったのだった。
先生いなくて良かった……。
もしいたらなんて言えばいいのかわからないところだった。
いい大人がキスマークを知らないわけがない。
私が恥ずかしい思いをするだけだから、本当にありがたい。



