少しだけ緩まったと思ったら今度は首筋に頭をうずめる歩夢。
「歩夢……?」
どういう心理でそういう行動を取ったかわからず、彼の名前を呼んだ次の瞬間──
「……いっ」
首筋にチクリとした痛みが走り、思わず声が漏れてしまう。
正体は歩夢しかありえないんだけど……。
「今何やった?」
「何ってキスマーク」
「……は?」
「男除けだ。ぜってーに俺以外見るんじゃねーぞ」
くっきりと付けられた赤い印を満足そうに艶な笑みを浮かべた後、歩夢は去っていった。
き、キスマーク……ってあのキスマーク?
私たち付き合ってないのに、嘘でしょ……。
慌てて首を手で抑えながら、廊下に出て女子トイレの鏡まで駆けつけたら、歩夢の言う通りのものがそこにあった。
あ、あの野郎……!!



