「俺以外の男子には名前で呼ばないで下さい」
「……っ」
「これでいい?」と照れ臭そうに言った歩夢は、私の瞳を真っ直ぐに見つめている。
「……ええ、合格だわ」
不思議な気分だ。
自由を奪うものは嫌いなのに、歩夢のヤキモチは嫌だとは思わなかった。
むしろ……嬉しい、だなんて変な私ね。
「……可愛すぎる」
「へ?」
「今の顔見れるなら、何回でも言いたいんだけど……あ、でも俺が死ぬからやっぱダメ」
今の顔、とは……殺傷能力の顔とか習得した覚えがないんだけど。
今ってことはさっき言った時の顔……?
どんな顔だったかしら……口角は上げた気もするようなしないような、もう既に曖昧だ。
でもようやく私が上になれたわ。
歩夢の照れ臭い顔を見て、喜ばしい気持ちになった。



