「人殺しが悪いことなのかどうかは、突き詰めても私じゃわかんないけど」 「うん」 「私は、橋倉には誰も殺してほしくないと思う。」 指先を軽くいじる。かさついた指先が熱を奪い合う。 橋倉が、緩やかに口端を持ち上げながら、じっと私を見つめた。 「なんで?」 「なんでって・・・、だって、きっと橋倉とこうしてくだらない話で笑い合えなくなっちゃうじゃん」 親指の爪を何度も何度もなでる。 なんてくだらない答えだと自分でも思う。