静かな声に心臓がどくりと脈を打った。
「ねえ、───ほんとにいいの?」
ふと、声のトーンが落ちた。こちらを見据える暗い瞳からは冷たさすら感じる。
だけど、突き放すような視線とは裏腹に、あたしを抱きしめる腕は壊れ物に触れるように優しかった。
「……うん、いい、よ」
「だめだよ、そんなに簡単にうなずいたら」
「簡単なんて、そんなわけ、」
それ以上は言えなかった。
さっきよりもずっと近い。吐息が触れそうな距離に、くらりと目眩がした。
「好きだよ。……相沢さんのことがずっと好きだった」
耳元に落ちたその声は、夢みたいに柔らかくて現実じゃないみたいで。
体温も鼓動もすぐそこにあるはずなのに、どれも輪郭があいまいで。
「ほん、とう……?」
そう言って見上げた先で、今度こそ、たしかに視線が絡んだ。



