「マスター。ちょっとテーブル借りていいっすか?」
市川さんに断って席につくと、灰田くんはスマホを取り出し、操作し始める。
「ちょっと待ってな。すぐ見つけるから」
「あ、うん。……何を探してるの?」
「……元カノ」
「……へ?」
「の、写真」
へえ、と曖昧にあいづちを打つ。
どうしてこのタイミングで元カノさんの写真なんだろうと不思議に思いながらも、黙って待つことにした。
「別れてから消したんだよ、写真」
「え……」
「でも、一個だけ消せなかったのがあってさ。すげぇ可愛いカオして写ってるから見て」
どうやら見つけたらしく、手を止めた灰田くん。
ふいに表情が柔らかくなり、ドキリとする。
「ほら」
画面を向けられた。
アイスを片手に、カメラ目線で笑っている女の子。
撮っている人──────たぶん灰田くんに向かって「一口食べる?」って言っているようにも見える。
セーラー服姿。たぶん中学時代……かな?



