日も暮れはじめたころ、お店のカウンターの方から男の人の声が聞こえてきた。
まだお店は開いてない時間。
誰だろうと耳を傾けていれば、次第に話し声は近くなってきた。
「おっす」
小さく手をあげたのは灰田くん。
予想外の人物に固まってしまう。
本多くんの前で、灰田くんと一緒にいたいと言ってしまったのを思い出して緊張が走る。
「中島にも連絡入れといた。たぶんもうすぐ来ると思う」
そう言うと、灰田くんはあたしの顔をのぞき込んで。
「椎葉。ちょっとだけ相沢さん借りていい?」
「あ?」
「大丈夫。悪いようにはしない」
「本当だな」
「うん」
うながされるまま、あたしは部屋の外へと出た。



