暗黒王子と危ない夜【after】


───……


無機質なチャイムがテストの終わりを告げる。


今日の科目はこれで終了。

そそくさと帰り支度を始めるクラスメイトをよそに、あたしは机に座ったまま俯いていた。


今しかない。

次はいつ会えるのかもわからない。

そばに行って、話したいことがあるからと声をかける。

それだけ……なのに。




「どうしたのー。固まって」


桃香に声をかけられて曖昧に首を振る。

ほんの少しの勇気が出ないだけ。


もしかしたら期待から大きく外れた答えをもらうかもしれない。
それでも、この先もどかしい思いを抱え続けるよりマシだと思うから。



「ごめん。本多くんに用事があって。先に帰ってていいよ」


そう言うと、桃香はパッと顔を輝かせて。

「わかった。がんばれ!」と背中を押してくれた。



ようやく顔をあげて本多くんの姿を探す

──────と。


その瞬間。




「おい、七瀬……っ」


そんな声が教室に響いたかと思えば
視線を向けた先には、本多くんを抱きとめる三成がいた。