「あー、はいはい。喧嘩もいーけどな、マジで七瀬は勉強しねぇと駄目だ」
三成が間に割って入った。
「留年でもなんでも勝手にしてろよ」
中島くんはそう吐き捨ててお店を出て行こうとする。
三成が持ってきたコーラのペットボトルは、ちゃっかり手に持って。
「待て中島」
三成が引き止める。
「あとでコーラ10本、お前ん家に送ってやる」
「……、……しょーがないなあ、そんなに言うなら残ってやるよっ」
わずか5秒で取り引きは成立したらしい。
「ちょろすぎ…」と隣で本多くんが頭を抱えている。
「萌葉はどっちかっつーと文系だろ?」
「あ、うん。そう、かな」
どうして知っているのかわからないけど、あたしは理系にかなり弱い。
かと言って、文系科目が得意かと聞かれればそうでもなくて、英語はだいたい平均点か、国語はそれより少し高いくらい。
「んで、中島はバリバリの理系だからバランスいいだろ」
自分で言ったことに、うんうんと満足そうにうなずいて、三成は「じゃあ」と手を上げた。
「じゃあな。俺は帰る」
今度は、中島くんが引き止める番だった。



