暗黒王子と危ない夜【after】


そんなセリフが勝手に口をついて出た。

今のが自分の声だとわかったあと、一拍遅れて、ドッと心臓が暴れだす。


あたし……、今、なんて……。


弱くて醜い心を晒してしまった。
他でもない、好きな人に……。



「……、……わかった」


短い返事のあと、あっさりと手が離された。

自由になった自分の指先を呆然と見つめる。



追いかけてきてくれたのに、別の人と比べる……なんて、わがままで、呆れられるのも当然だ。



あたし、無意識に試してたのかな。

こんなことを言っても、簡単にうなずいたりしないで、引き止めてくれるんじゃないか……って。


子供っぽい。
そんなことあるわけないのに。



倉庫に着くまで一言も交わさなかった。

着いてからも一度と目が合うことはなく。



三成に帰りたいと言ったら黙ってバイクを出してくれた。

もう、あたしが黒蘭にくることはないんだろうな……。



そう思うと、また鼻の奥がツンとした。