首を横にも縦にも振れず、うつむいたまま。
「エナからすぐに離れなかったのは、右手のせいじゃない」
さっきと同じ。心臓はなおも激しく脈打つのに、頭の中は妙に冷静で。
分かっていた、という諦めなのか、考えたくない、と脳が拒否しているのか。
片腕が使えないからと言ってどうってことはない。本多くんは、左腕1本で喧嘩ができる人なんだ。
拒否しようと思えば簡単に振りほどけたはず。
そうしなかったということは、エナさんを受け入れていたから。
「いきなり抱き着かれたから驚いて、……あと、エナが今まで苦しんでたことも知ってるからすぐには突き放せなかった」
もういいよ、と遮ってしまいたくなる。
そんなことを言うためにわざわざここまで、私を追いかけて来たの?
エナさんへの気持ちを自覚した。
だからもう、あたしには優しくできないって。
そういうことだよね……?
保っていた何かが急にプツリと切れ
目から熱い雫がぽろっとこぼれた。



