暗黒王子と危ない夜【after】


きっと灰田くんに悪気はない。
あたしが全て知っているという前提で話を進めている。


「七瀬君がまともな恋愛できるとは思ってなかった。好きとかいう感情があるのかも危ういなーとか思ってたし。 同情以外で一人の女に執着するなんてありえねぇー、ってさ」


灰田くんの言っていること、まるで耳に入ってこない。
聞かなきゃと思うのに、心の中のモヤモヤが外部からの音を遮断してしまう。



「自覚はなかったけど、俺があんたに興味持ったのは、そういう理由もあんのかなって思った。知りたいと思うのも、結局はそこなのかもな」



──────落ち着け、と言い聞かせる。


本多くんがたくさんの女の人と関わっていたというのは、知り合う前から噂で既に流れていたこと。


キスされたときも慣れてるって感じた。


今さらこんなことで動揺しちゃいけない。
干渉する権利もない。


だって……付き合ってるわけでもないんだから。