中島くんって、本当に振り幅が大きいなあ……。
演じるのが得意だって言ってたけど。
クールだったり、明るかったり、子供みたいにはしゃいだり。
かと思えば、あたしを人質として黒蘭に連れてきたときみたいに、凍るような恐ろしい雰囲気だって出してくるし。
どれが本当の彼なのかいまだにわからないけど、少なくとも今この瞬間の笑顔が明るく色づいているのは確かだった。
「じゃ、役職も決まったってことで。今後の話に移るけど──」
灰田くんが話を切り出したとき。
「─────おい、だから来んなって!」
倉庫の裏の方から、なにやら声が聞こえてきた。
それは、三成のもので間違いはなく。
……だけど。
「お前はもう関係者じゃねぇだろうが」
何やらあと一人、誰かがいる様子。
ただをこねているような女の子の声。
膨らんでいた気分が、急にしぼんでいくのがわかった。
この声も知ってる。
だって……。
「帰れよ、エナ!」



