再び歓声が沸き起こる中、隣では原野くんも手が真っ赤になるほどの拍手を送っていた。


これでようやく、本多くんの守りたかった世界が、中島くんの守りたかった本多くんの笑顔が……取り戻せるのかもしれない。



「総長〜ひとつ異議あり〜」


中島くんの楽しげな声が拍手を破った。



「異議っていうか提案っていうか……。俺は特攻大好きだから嬉しいけど、一番隊って名前、いかにもって感じで古いしダサいから変えたいでーす」

「ああ、その辺は任せるけど」

「そんじゃあ “うさぴょん進撃隊 ” で申請よろしくね」



……なんて。

ええと、冗談だよね?

……と思ったのはあたしだけみたいで。



周りからは「最高です!」「可愛い!」「流石っす!」など賞賛の声があがる。


するとどこから取り出したのか、中島くんは腕にあのうさぎのぬいぐるみを抱えて皆に見せびらかし始めた。


本多くんは何も言うまい、というような呆れ顔で眺めつつ。
それでもやっぱり、口元は優しく笑っていた。