総長代理……。
そっか。深川が、いなくなったから……。
「あ、そうだ。原野、この子のこと少し見ててくんね?」
中島くんに肩をつかまれ、はっと現実に返る。
原野と呼ばれたその人物は、こちらを見て戸惑った表情をしつつも「わかりました、琉生さん!」と元気よく返事をして、あたしのそばについた。
ふいに本多くんが立ち止まり、振り向いた。
その視線はあたしではなく、原野くんに向けられていて。
「……その子に他の男近づけさせないでね。絶対」
原野くんの肩をつかみ、耳元でひとこと。
小さい声だったけど、あたしにも聞こえた。
本多くんは最後まであたしを見ることなく踵を返して、幹部が集まる場所へ向かっていく。
「あっオレ、青藍会二番隊の原野っていいます。姐さん」
「え……。ねえ、さん……?」
まさかそんな呼ばれ方をするとは思わなかった。
顔があつくなる。
「オレ一年なんで、あなたより年下かなと思って」



