暗黒王子と危ない夜【after】


後ろに3人乗れるのに……。

中島くんはきっと、あたしに気をつかってくれたんだ。

緊張でどうにかなりそうだけど、ありがたく受け入れるべき……だよね。


せっかく用意してくれた機会を無駄にしないように……と。

気合を入れた

──────ものの。



「相沢さん、先にいいよ」


本多くんがスマートに促してくれたのに、体は緊張で固まってしまってぎこちない動きになる。

三成に見られてたら「ロボットみたいな動きすんな」って絶対笑われるだろうな。

想像して赤面してしまう。


全員が乗ったことを確認すると、車はまもなく走りだした。



あたしの隣には本多くん。


鼓動が狂ったみたいに暴れるせいで、外を見るか俯くか、どちらかしかできない。


だけど窓に目を向けたとたん、黒いガラスに反射した横顔が映し出されて。

あっと思った瞬間、こちらを見た本多くんと窓を介して目が合った。


ドキン!と見事にビックリマーグがつくくらいの音を立てて、心臓が跳ね上がる。