暗黒王子と危ない夜【after】


「……なに、これ」

「テスト範囲分の俺のノートのコピーが全部入ってる」


「っ、すごい……。でも何であたしに?」

「俺は自分の勉強で忙しいからな」


「? うん、そうだよね」

「だからお前にやる」



……それは、つまり……?

得意げに腕組みをしている三成は、やっぱりいつも唐突で、説明の言葉が足りない。



「お前が七瀬の勉強みてやれよ」


えっ、と声をあげて固まってしまう。



「どうしてあたしなの?」

「だから俺は、無理なんだって。首席キープしねぇと首飛ばされるし」


「うん、三成の事情はわかるけど……あたし、成績がいいとは言えないよ?」

「だからそのノートやるっつってんだ。わかったか」



三成は基本的に断る選択肢をくれないから、たとえ無理だと思ってもうなずくしかない。



「てことで今から市川さんの店行くからな」

「わかった。……って、えっ?」



聞き間違いだろうか。

“ 今から” って聞こえた気がする。



「もう柳居さん呼んでっから、七瀬が職員室から戻ってきたら行くぞ」