暗黒王子と危ない夜【after】


本多くんがさらりと口にすると、中島くんは一瞬ひるんだように黙り込み。

それから。


「まじきもい。早く支度しろ人でなしが」


そう吐き捨てるとすばやく目をそらした。



「ていうか中島はどっちのメンバーとして参加するの」

「別にどっちでもいいだろ」


「おれもどっちでもいいけど。中途半端は嫌われるんじゃない」

「知らねぇよ」


中島くんがジャケットを羽織る。あの時あたしに貸してくれたジャケット。

血で汚れていたはずだけど、クリーニングに出したのか、染みもほとんど目立たなくなっていた。



「どっち側にも染まらず二重スパイ続けるってのもありだな。そこそこ楽しかったし」

「それで死にかけたくせによく言う」

「は? 元はと言えばてめーのせいだろうが!」



ふたりの言い合いは止まらない。

微笑ましいからいくらでも聞いていられるけど、このままじゃ永遠に続くかもしれないな…なんて思った矢先。


お店の表の方から、話し声が聞こえてきた。