毒が回っているみたい。

同時に思考も鈍る。

本多くんのことしか考えられない……。


こんなに近くにいるのに、勉強に集中できるのかな。

意識しないなんて無理だよ。



「……じゃあ、テスト範囲の要点押さえるところから始めてもいい、かな」


なんとか声をしぼりだした。


――直後。

突然スマホのバイブ音が部屋に響いて、お互いの肩を揺らす。



「……ごめん、おれの」


画面を確認しながら、本多くんが静かに立ち上がる。

相手はエナさんかな、なんて咄嗟に考えてしまうのは、あのときの電話が少しトラウマになっているからかもしれない。



「どうしたの、三成」


聞こえてきた名前にほっと安堵したのを悟られないように、視線を落として教科書を読むふりをする。



「……今夜? ずいぶん急だね。……、ん、わかった」


何か予定でもできたのかな、と首を傾げたところで通話が終わったみたいだった。