「萌葉、助けろ。七瀬がやばい」



放課後。荷物をまとめているところに現れた三成が、みかんジュースを片手にそんなことを言う。

不安を煽られ、心臓が冷たく跳ねた。



「や、ばいって……?」

「あいつ今、職員室に呼ばれた」

「職員室? どうして、」



まさか、この前の出来事が学校にばれたとか……?




「成績悪すぎて進級が危ういらしー」

「え、……あ、成績……?」



とりあえず身の危険が心配される状況でなかったことに安心しつつも、これはこれで由々しき問題。



「まずは次の中間で平均点いかねぇと、3年になれねぇな。この前までサボりまくってた挙げ句あいつ勉強しねぇから……」



そうだ。今までの本多くんは学校には来ていても、授業に出ないことが多くて、出席点がほとんど取れていない。

せっかく学校に戻ってくることができたのに……。



「一緒に3年生になれないのはやだ……」

「だろ? だからお前にこれをやる」


三成がめずらしく肩に掛けるタイプのカバンを持っていると思ったら、それをドンっとあたしの机の上に置いて。