嫌われ者の小鳥遊さんは、好かれることに慣れてない

とまぁ、色々言いつつも宇津井先輩が私を闇から救い出してくれた救世主であることには変わりない。


私の教室での扱いは変わらないが、自分の味方であると思える人間が一人でも居るということが、これ程安心を覚えるものだとは思わなかった。



居心地が悪いことには分かりないが、同じ校舎内に宇津井先輩が居るのだと考えただけで、心臓の奥がじんわりと暖かくなる様な気持ちになれた。



…勿論、これも本人には口が裂けても言えないけれど。




「何を考えているんだ」

急に黙り込んだ私に、訝しげな視線を向ける宇津井先輩。





「…別に、何でもありません」

「さては小鳥遊、俺のことを考えていたな。遂に恋に落ちたのか」

「全てを否定はできません」

「そうか、そうだろうな………え?」

飄々としていると思ったら、心底驚いた様な顔に変わる宇津井先輩。私と付き合う様になってから、クールでミステリアスなキャラが時々崩壊している様に感じられるのは、強ち間違いではないだろう。




「感謝してます。嫌いじゃありませんよ、宇津井先輩のこと」

「…、小鳥遊っ」

私の手を握ろうとした先輩をスルッと交わして、私はいたずらをする子供の様な笑みを浮かべた。




「この話は、また追々しましょう。


ーー第二図書館で。ね?」

「…本当に、君には敵わないな。俺は」

諦めた様な、けれども楽しんでいる様な、柔らかな表情を浮かべた宇津井先輩。私達は、再び並んで歩き出した。










ーー私も敵いません、貴方には。


なんて、絶対に口には出さないけれど、ね。