ジェットバスの泡の中から浮かんできた鈴が、 「お前は、ホンモノの新郎か? ニセモノの新郎か?」 と訊いてくる。 いいえ、私は、ホンモノの新郎ではありません、とか言うと、お前は正直者ですね、と言って、ホンモノの新郎、征がもらえたりするのだろうか。 いらないんだが……と思いながら、尊はガラス扉越しに、鈴に向かって言った。 「ちょっと出てくる」 「えっ? 何処へ?」 と鈴が立ち上がる音がする。 だから、水音をさせるなーっと思いながら、尊はフロントへと向かった。