というわけで、結婚してください!

 だが、誰も居なかった。

 ……気のせいですよね。

 居ても、せいぜい、霊ですよね、ととりあえず、誰かに見られてなければ、霊でもいいや、くらいの気持ちで思う。

 よしっ、と覚悟を決め、そっと尊の額に唇で触れてみた。

 だが、すぐに飛ぶように離れる。

 やったっ。

 やってやりましたよっ、とまるで、親の仇を成敗したあとのように、誰にともなく、心の中で報告したとき、また気配を感じた。

 はっ、と振り返ると、隣の部屋の暗がりから、目を光らせたぽすがこちらを見ていた。

 ぽすだとわかっているのに、なんとなく、ビビッていると、スマホが鳴り出した。

 布団の側に置いてある、尊のスマホだ。

 明るく光るその画面を覗いてみると、会社からだった。

 こ、こんな時間に呼び出し!

 切りたいっ!

 でも、そんなわけにはっ、と思ったとき、誰かがそのスマホをつかんだ。