というわけで、結婚してください!

 



 その日はなんとか十時には帰ることができた。

 ご飯を待ってくれていたらしい鈴が急いで用意してくれて、二人で食卓を囲む。

 家はずいぶん家らしくなっていて。

 女ってすごいな、と思っていた。

 自分だけだったら、ひとりで暮らしていた数日間ずっとそうだったように、物がないまま、暮らしていた気がする。

「ずっとオーブンに文句を言われてるんですよ」

 鈴は煮込みハンバーグを食べながら、そんなことを言ってきた。

「最近のオーブンはいろいろとうるさいんですよ~。
 しゃべるんですけど、叱られてばっかりなんですよね~」

 それはお前に問題があるのでは……と思っていたが、黙っていた。

「他の電化製品も一斉にしゃべり出したりして、なかなか、賑やかですよ~」
と今日一日の報告を受ける。

 ようやく家財道具もそろったので、忙しく家事をこなしていたようだ。

「楽しそうでいいことだな」
と言うと、

「……尊さんは楽しくないんですか?
 大変ですか?
 慣れない支社でのお仕事」
と鈴が心配そうに訊いてくる。